【読んだ本】 0→100(ゼロヒャク)生み出す力

【読んだ本】 0→100(ゼロヒャク)生み出す力
0→100(ゼロヒャク)生み出す力

0→100(ゼロヒャク)生み出す力

著者: 水野和敏, 小泉和三郎

日産のR35 GT-Rのプロジェクト統括責任者で知られるエンジニアの水野氏と、がん治療の第一線に立つ医師の小泉氏とが、ほぼ交互にセクションを執筆しており、それらの内容が呼応する流れで本書は成り立っている。なぜこの二者が共著を出すことになったのか? R35 GT-Rが関係する話題には、とくに開発ストーリーについては、私は吸い寄せられるように関心を持ってきたのだけども、水野氏に関するある事実を本書で初めて知ったとき、「えっ」と声を出すほど驚いた。

本書から知ることができるのは、己に託してきた分野で卓絶した域まで達しているプロフェショナルは、特有の感覚で世界を見ているらしいということ。事象を、時間変化を伴う動画イメージで予知している (過酷な走行をするレースカーならば、どこの部品がどのように変化して真っ先に壊れるかが見える)。また、チームで仕事を為すために個々のメンバーの能力を縦と横にも拡張する方法を用いていて、そのようなチーム運営は分業制が前提である組織論に必ずしも沿うものではないと。

著者らが事を進めてきたのは「何のために」であるかという点も、本書を貫く重要な骨子である。それは顧客や患者のしあわせのため。たとえば極端な比較として、自分の趣味の世界では「ぼくのかんがえたさいきょうの……」を実現したい気持ちが主たる行動要因だったりもする。このような自己実現を目指す発想が、規模の小さくないものづくりの場を引っ張っていることもありうるのかも知れない。私も陥りがちだなと自戒しつつ、「何のために」のバランスは場面場面で突き詰めていかねばと思う。

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