【読んだ本】 万引きの文化史 (ヒストリカル・スタディーズ03)

原題『The Steal: A Cultural History of Shoplifting』。とあるブックフェアに出向いたときに見かけて、興味惹かれたので購入。自由価格本となっていた。本書の内容は、私にとって知的にかなり刺激的で、万引きを、人間の何が発現した上での行動と捉えるか、様々な要因が考えられていることが知れた。
金銭的に困窮していたから、鬱憤晴らししたかったから万引きした、という理由ならいわば常識的で耳慣れたもの。しかしそうではない見方もある。万引きという行為は、精神的な依存症の一種であるとか、革命家としての行動の一つであるとか、女性解放運動に関係があるとの言説もあるそうなのだ。また、過去には、ある聖職者がその立場から万引きを推す発言もあったとの記述がある。善と悪という、恒久的なものだと通常考えている価値観が、他の人の頭の中に必ずしも等価な判断基準としては存在していない。
そのような現実世界の普遍性を、著者は、万引きの当事者にインタビューした数々の記録も交えて、読者へ淡々と感じさせてくれる。

