【読んだ本】 ディジタル・オーディオの謎を解く: CD・DATの科学と開発

1987年発行のこのブルーバックス本を、いまなぜ手に取ったのかというと。本書は、私が中学高校時代に読み返した回数が最も多いと記憶している一冊で、内容をもう一度読み返したくなったからである。
音をデジタル変換する上での、標本化と量子化の行程や、エラー訂正の処理の内容説明が、恐ろしく分かりやすく書かれている。そして、自分たちが開発したオーディオ規格をいかにして業界標準として採用させるのかという、多国間の生々しい戦いの様子も刻まれている。インターネットを知らない年頃の当時の自分が、奥深い本書をどれだけ面白がって、憧れてお手本として重宝したか、想像するのはたやすい (今も同じ性分だから)。
また、本書の印象から今回唐突に思い浮かべた、ものづくりに関する私の仮説としては、道を拓いて作った者のみしかやり得ない試行錯誤が、本物の開発者として必要な条件なんだろう、というもの。多大な情報を参照できてとりあえず動く物は作り易い現代の状況下では、人間が試行錯誤することが、貴重な意味を持つ気がした。

