【読んだ本】 銃を置け、戦争を終わらせよう 未踏の破局における思索


銃を置け、戦争を終わらせよう 未踏の破局における思索
髙村 薫 (著)
本書は、週刊誌『サンデー毎日』に掲載された約2年分の時評をまとめたものである。どの時評もこの単行本の面積でいうと3ページと少しの分量であり、各記事は、見開きの右側から読み始めてページを1度捲ればその左側で終わる。著者が紡ぐ、論理が明瞭な文章を、リズミカルに、淡々と読み進めることは可能だ。
ただし、収録されている2021年6月6日〜2023年6月18日の時評で問題提起された内容は、この2026年4月現在に、安心安全の方向へどれも片付いていないのではないか? 読み進めるほど、この事実が非常に重く、自分に伸し掛かってくることもわかる。問題をいくつか拾い上げてキーワードとして列挙すると、東京オリンピック / 赤木ファイル / ウクライナ情勢 / 旧統一教会問題 / 原発回帰という選択 / 安保関連3文書 (国家安全保障戦略, 国家防衛戦略, 防衛力整備計画) / 入管法 (出入国管理及び難民認定法) / 生成AI、という並びになろうか。
そしてさらに、上記期間の後の、現在の世界情勢の大きな変容には、第47代アメリカ合衆国大統領が率いる米国が強烈に関わっている。他方、第105代内閣総理大臣を生み出すこととなった日本国は、自分の感覚を言葉にすると、主導者層にイキりが流行していて、責任を軽んじたカオスな社会を目指しつつあるかのよう、と思ったりする。私が本書から教わった普遍的なことがあるとするならば。それは、問題を安心安全の方向へ片付けるためには、社会の人々の根底に、批判する力が蓄えられていなければならないという原理と、その代替不可能性である。
