【読んだ本】 どんがら トヨタエンジニアの反骨

【読んだ本】 どんがら トヨタエンジニアの反骨
どんがら トヨタエンジニアの反骨

どんがら トヨタエンジニアの反骨

清武 英利 (著)

「多田 哲哉」というお名前を、私はwebCGのコンテンツ (多田 哲哉のプロフィール|記事一覧 - webCG) で知っていた。本書は、この方を主人公に据えて、主に「86」の自動車開発と、関係者の人間模様とを描いているノンフィクションである。登場する人の発言や、そして企業に関する表現に、遠慮がなくて赤裸々すぎて、そのせいで何があっても自分には関係ないのにちょっとどきどきしてしまうぐらいだ。

自動車の部品は内燃機関車の場合、約3万点あるという。それらをコスト計算しながらどのように設計して、折り合いを付けてトータルバランスを整えて、自社の工業製品として出荷するのか。それは自社の中でさえ十分に、一千億円規模の大事業であるはずなのに、企業文化が違う他社との共同開発プロジェクトとして、いったいどうやって成立させたら良いのか。本書の途中でギアが一段上がるのは、SUBARUが登場したところからだ。ちなみに、トヨタ「86 (ZN6)」とスバル「BRZ (ZC6)」の次に、トヨタ「スープラ (DB)」とBMW「Z4 (G29)」の場合でも、文化的価値観が違う2社でどう話を進めていったかが説明されている。

自分なりにまとめると、本書のエッセンスは、次のような有り様の実際を知ることにあるのかもしれない。1) ある物理的なゴールに向けて (ゴールが持つ意味合いはお互いに異なることはある)、お互いの筋を通し (すなわち叶えたいことを叶え)、それが他方を尊敬することに繋がる状態で、プロジェクトを結果的に完遂させる行動。2) 突破が難しそうにみえる壁に対しては、内規や通例をハックすることを厭わず、見方を変えれば最短である迂回路を見つけて、事を進めていく様。

P.S. この感想を書いているときの調査で、「ソープボックス」なるレースを初めて知った。