【読んだ本】 蓄電所ビジネス

【読んだ本】 蓄電所ビジネス
蓄電所ビジネス

蓄電所ビジネス

江田健二 (著), 出馬弘昭 (著)

書籍のタイトルとしてはあまり見ない「蓄電所」という単語に惹かれ、未来感がありそうだと考えて選んだ。本編の他に、章ごとのコラムが複数あってそれぞれが異なる組織に属する方たちが執筆しているため、業界の基本情報や世界情勢の説明が、コラム間で重複している印象もあるのだが、多くの方が述べているということは逆にそれだけ重要なことなのだろう、と捉えることにした。

本書の前半は SDES (Short Duration Energy Storage) としての系統用蓄電池について。系統用蓄電池にはなんと、騒音問題がある、ということを初めて知った。そして後半の LDES (Long Duration Energy Storage) に関する部分を、更に新鮮味を感じながら読んだ。LDESとは、8時間〜数日〜数週間といった長いスパンでエネルギーを貯蔵し、電力として充放電が可能な設備である。おそらく最もよく知られているのは、電気エネルギーと位置エネルギーを相互変換する揚水式水力発電所であろう。他に、数十トンの重りを持ち上げて位置エネルギーを貯蔵する設備や、熱エネルギーとして貯蔵する設備などが商用化段階だったりするそうだ。

太陽光や風力といった自然エネルギーによる発電が割合として増加すればするほど、電力需要とのバランスを取り、電力供給を安定化させるために蓄電所は不可欠となっていく。しかし、現在では技術的な課題、経済的な課題がある、ということの“触り”を本書で知ることが出来た。蓄電所が、ビジネスとして成り立ち、社会のインフラに広く普及しない限り、理想的な、エコでかつ不便のない未来は難しいそうだな、とも感じつつ今後も注目して、他の書籍も読んで深堀してみようかと考える。