【読んだ本】あなたが私を竹槍で突き殺す前に

【読んだ本】あなたが私を竹槍で突き殺す前に
あなたが私を竹槍で突き殺す前に

あなたが私を竹槍で突き殺す前に

李龍徳 (著)

いちおう読み終えると、本書の内容から受ける印象と、本書のタイトルから受ける印象は、相似していると分かった。物語に「竹槍」はおそらく出現していないのに、登場する社会の世論や緊迫感や刹那を、戦時を連想させるこの言葉が喚起するからだろう。しかし私は読み終えはしたが、読み切れていない。

国籍や出生の差別から始まる極めて深刻なテーマを扱っていて、私がいつものようにここに、感想をライトに打ち込む気にはさせてくれない。スポットを当てる登場人物を、章ごとに違えている構成により、読者は一章ごとに没入する対象を切り替えることになり、その人物を深く知らざるを得ない。さらに著者の創造力を含む力量や言葉運びのうまさにより、心情や状況の描写が重く、時にしんどい。

私が読み切れていないと書いたのは、一塊の物語全体として、本書をつかみ切れた気がしないからであった。しかしまずおそらく間違いないのは、怒りが渦を巻いてやり場に着火する、その繰り返しが社会現象となると、どのようなことが起こりうるかが描かれていること。そして、二人の女性に役割を当てている「書き残す」という行為に、著者が希望を託しているのではないか、ということ。