【読んだ本】 老人ホテル (光文社文庫)

【読んだ本】 老人ホテル (光文社文庫)
老人ホテル (光文社文庫)

老人ホテル (光文社文庫)

原田 ひ香 (著)

どういうホテルなんだろう?と、題名に惹かれて選択した。この作者の小説は今回で2冊目。1冊目でも思ったのだが、本作も、人々の日常生活の表層を丹念に描きながら、お金を切り口に、人の心理を鋭く裂いてえぐってくる要素が骨組みにある。それは急に来るし、露骨さになかなかのホラー感がある。

投資、特に不動産投資の定石のノウハウが、ストーリーの中で饒舌に披露される場面があるのがおもしろい。このような展開は、お金絡みのストーリーの場合の作者お決まりのパターンなのかも。そうして主人公は周りの人々からの助力を得た結果、目標を叶えていくのかもしれない……、そう匂わせての結末かぁ。と思ったら続いて【特別収録スピンオフ短編】が収録されており、突然の味変に驚く (物理本と違ってKindleで読むと、ページ数にまだ残りがあるかどうかを感覚的に意識しないし)。この味変の度合いの中に、主人公の人間性の変容と不変の部分も描かれているのだと思う。