【読んだ本】 水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬


水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬
山本 一生 (著)
第二次世界大戦の前の、日本国の燃料事情、石油資源と精製技術、航空燃料のオクタン価によるエンジン出力の違いなどについて、知らなかったことばかりだったので、当時の工学的な史実の記録として本書をまずはおもしろく読んだ。その流れに乗って読者の意識はスムースに、「藁から真綿」、「海水からアルコール」、神託による「富士山麓油田」と続く、資源の確保を切望するあまり、“魔法”に頼ることになる戦時の流れへ没入させられる。
そして本丸の、タイトルにある「水からガソリン」が登場する。水に何らかの物を混ぜる実験が目の前でなされて、主張の通りに水からガソリンができると示されたら、軍関係者であっても、納得させられてしまうものなのだろうか。それは何故なのか。←詐欺に関する色々な話題に触れて私が最も興味惹かれる部分はおおよそいつも、人がハックされているこの点だ。
戦力の大きさは、物量で、具体的には使用可能な石油の量で決まる時代だと分かっていたという。だからこそ、不確実性 (リスク) の高い魔法であってもそこにすがった、日本国のいわば終わりの始まりの雰囲気を、私は本書からも得ることができた。
参考リンク
- 「水からガソリン」海軍を惑わしたトンデモ科学 : 読売新聞 [2017-08-15]
- 大阪府泉大津市:
- 「合成燃料生成・活用」の実証実験を助松公園でスタート!/泉大津市 [2025-07-24]
泉大津市において、合成燃料製造装置の可動式と実演会を行いました。
— 南出賢一 /大阪府泉大津市長 (@minakenbo) July 6, 2025
水と空気から光の力で、45分間で約20リットルの軽油ができました。
その軽油を使って発電機を動かして、冷風機を作動させました。
また、トヨタのランドクルーザーに精製した燃料を入れて、車を走らせました。… pic.twitter.com/MCyhkCeo33