【読んだ本】 僕には鳥の言葉がわかる


僕には鳥の言葉がわかる
鈴木 俊貴 (著)
柔らかいイラストの装丁が手に取りやすい印象を与える。中身は、アカデミックな活動をとことん堅実に貫いている研究者の語りとなっていて、知的にとても興奮する。網羅性・論理性が要求される、反論に応えられる実験デザインとはどのようなものなのか、すんなり分かるように書かれているし、地道な調査をどれだけ多くの時間と手間をかけて行ってから、論文にまとめるのか、苦労も把握できる。
さらに、赤裸々な語りの流れの中に、お茶目なオチが所々付けてあって、愛嬌もあるのだ。もちろん本書の肝であってなにより凄いのは、誰も手がけていなかった、シジュウカラをはじめとする鳥の『言葉』を科学しているところ。俗説よりも確かな裏付けをあたりまえに探し求める姿勢を、本書から得る教訓として記憶しておきたい。