【読んだ本】 三千円の使いかた


三千円の使いかた (中公文庫)
原田ひ香 (著)
章が進むにつれて登場人物の関係性を明らかにしていく物語の構成に引き込まれた。各章に絡めている、お金に関する出来事は、自分の身にも覚えが必ずあると言ってよいほどの、日々の暮らしに密着した等身大の内容ばかり。言わずもがなで困りごとの類いであるそれら課題の、落とし所をなんとかして探っていく人間模様が描かれており、“前向き”な気持ちが充填されるような読後感があった。
暮らしにおいて決め事をするとき、お金の大小が本当に判断理由であることは実は稀なんじゃないか。それをどうにか考える真なる決定権は自分にあるんじゃない?というメッセージも受け取った。