【読んだ本】 模型からの発想―新技術に挑むスピリット

【読んだ本】 模型からの発想―新技術に挑むスピリット
模型からの発想―新技術に挑むスピリット (ブルーバックス)

模型からの発想―新技術に挑むスピリット (ブルーバックス)

江守 一郎 (著)

とある青少年科学館の上階の奥まったところに、数十年の歴史を感じることができる図書室がある。そこには、最近の流行りなんてものともしない、科学に関する古典的な蔵書がずらっと鎮座していて。その中からタイトルに惹かれ、本書を手に取ったのが今回の読書のきっかけだ。私は中高生時代から、ブルーバックスをいわば愛読していて何十冊かは買って読んだと思うが、当時は本書を知り得なかったらしい。

本書は1980年9月に発行されており、余談だが定価は480円だったようだ。第一章の「月面探検車の設計」から始まり、目的とする現象の解明を行う場合に、模型を使うとどのようなことができるのか、どのような検討事項を科学的にクリアしていれば模型を使っての実証ができると言えるのかを、様々な模型を題材に述べていく。全編がとてもわかり易く綴られており深い感銘を受ける。技術的に、時間的に、そして予算的に限られた範囲で作ることができる模型でもって、現象の本質をみようとする発想は、物事の本質を捉えようとする普遍的な行為、そして技術者のチャレンジ精神とも地続きなのであろう。タイトルの『模型からの発想』を紐解いて私はこのように解釈した。本書は刺さる言葉に満ちていた。

参考リンク

著者 (江守 一郎) が監修・資料提供した、『交通事故鑑定人 環倫一郎』という漫画があると知った。

交通事故鑑定人 環倫一郎【完全版】(1) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)

交通事故鑑定人 環倫一郎【完全版】(1) (Jコミックテラス×ナンバーナイン)

梶研吾 (著), 樹崎聖 (著)