【読んだ本】 大阪・関西万博 「失敗」の本質


大阪・関西万博 「失敗」の本質 (ちくま新書)
松本創 (著)
大阪での開催が2018年11月23日に決定し、2025年4月13日から開催される『2025年日本国際博覧会』。この博覧会の公式の略称が「大阪・関西万博」である。本書はこの万博があえて開催される前に、万博の姿と陰を浮かび上がらせる検証を行っている。五人の著者による検証の切り口は、「万博と政治」「万博と建築」「万博とメディア」「万博と経済」「万博と都市」の五つだ。
オリンピックや万博といった社会的に大きなイベントは、得てして、始まってしまうと宣伝や忖度ある報道も流れ始め、冷静な視点で観測することが難しくなると思うので、本書が最高に旬な時期はまさに“今”。抜群におすすめだ。どのように形成された大義に基づく万博なのか、過去のどのような経緯から続く、各種の問題をはらんでいる開催なのか。ノンフィクションを好む私のような者にとって、本書は眼前の現実を観測する際の、一種の思考のガイドブックとして機能しうる。