【読んだ本】 派遣者たち

【読んだ本】 派遣者たち
派遣者たち

派遣者たち

キム チョヨプ (著), カン バンファ (翻訳)

原題『파견자들』。表紙イメージの色彩は強烈だ。これは地上世界の氾濫体を表しているのだろうから、逆に、地下世界の方はどんな色彩なんだろう?という想像も膨らむ。

人間が、触覚や聴覚を通じて菌のように周りと連帯するようになったら、どのような生き物になるだろうか。本作にはこのような思考実験の要素もあるように感じる。個人が個人たるゆえんだと一般的に捉えられる個体の中の自己意識が、自身だけの生体にとどまらなくなった場合に、私は私をどう認識するんだろう? なかなかに想像しがたいことを想像させてくれるSFだ。読みながら、ガイア理論を少し思い出したりもした。