【読んだ本】 警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル

【読んだ本】 警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル
警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル (文春文庫)

警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル (文春文庫)

服藤 恵三 (著)

NHKの下記『新プロジェクトX』を観て、登場されている方の著書があることを知って選択。

事前にテレビ番組を観ているから、内容のイメージが湧きやすくて読書のスピードが上げられるんだなと思いきや、読みやすい最も大きな理由は本書の文体にある。装飾を感じさせない整理された言い回しがされており、記述がストレートにこちらの頭へ書き込まれる気がした。著者の思考というか、実直な人となりの表れなのであろう。また、犯罪捜査において事実を明らかにするために科学を極める、その極め方が超人的な著者のスタンスが、本書の神髄であって私の心に大きく残っている。警視庁の組織を変えて科学捜査のポジションを確立していく様の記録部分には、ビジネス小説に引けを取らないスリルがある。しかし、立ち上がった役職がその後どうなったか分からない、なんてこともやはりあるのだな。

多様な事件の事実を捜査員らが追究している本書を、ノンフィクションの面白さをまだ知らないであろう子どもに読んで欲しくて文庫版を渡してみている。読み通してくれるだろうか、はてどうだろうか。