【読んだ本】 マネー・ボール〔完全版〕

【読んだ本】 マネー・ボール〔完全版〕
マネー・ボール〔完全版〕

マネー・ボール〔完全版〕

マイケル ルイス (著), 中山 宥 (著)

従来の見方が実はうまく行っていないことに気づき、検証によってそれを示すこと。より確からしい見方を掴むこと。その見方を経営の基軸にすること。

という汎用的な発想の種まで得ることができた、資金に乏しい野球チームが勝率を上げる様子が単におもしろいだけでなく、私の当初の予想を超える深みが備わっていたノンフィクション作品。

本編を最後まで読んだあと、普通なら書籍としてはそこで終わるだろうに、本書ではその次に『出版後日談』の章が来ていて「おや?」と不思議に思った (この章が追加されているために〔完全版〕なのだろうと推測する)。なんらかの新規軸が現れたとき、それについて半端な把握しかせぬまま検証が伴わない勝手なことを公に向かって発言するたぐいの人って、どこの組織体にもいるのだな……と思わされた。だがしかし、このような従来型を支持する流布が蔓延しているときは、パラダイムシフトがそのすぐ先に控えていることも少なからずある。繰り返すが、より確からしい見方を掴むこと。