TIME/タイム (吹替版)
アンドリュー・ニコル (監督), Marc Abraham (プロデュース), Andrew Z. Davis (プロデュース), Bob Harper (プロデュース), Amy Israel (プロデュース), Debra James (プロデュース), Kristel Laiblin (プロデュース), Arnon Milchan (プロデュース), Eric Newman (プロデュース), Andrew Niccol (Writer), ジャスティン・ティンバーレイク (出演), Smith (出演)
原題『In Time』。先日観賞した『ガタカ』に続く、アンドリュー・ニコル監督の作品として選択。その共通性が直接的な描写で分かり、ニヤッとしたのは、各作品に登場する二人ともが海を泳ぐシーンである。これには隠喩としてきっと何らかの意味が含められているに違いない。
時間というものが、労働や物やサービスと交換可能な価値に変換されて流通している世界。時間の交換可能性は経済を生み、資産の継承が可能になり貧富の偏りが維持強化され、居住エリアが分離される社会構造が成立している。また、自分の時間がゼロになるとバッテリー残量が無くなったかのように生命が終わるため、貧しい者は毎日が残り時間ギリギリのその日暮らしにあがき、富む者は年齢的には不老不死が保証されたようなリッチな生活様式を取り得る。
本作を観賞しつつ、秀逸なストーリーだなと私が心底感じたのは、異世界の設定に、要素は違えど現世界にも古今東西に存在しているこのような特性を持たせているところ。それは現世界での、富が集中する機構や、生命に関わる貧富の差に思いを馳せることになるもので、いわゆる示唆に富む映画という言葉を使いたくなる。