【読んだ本】 知能犯之罠 (官僚謀殺シリーズ)

【読んだ本】 知能犯之罠 (官僚謀殺シリーズ)
知能犯之罠 (官僚謀殺シリーズ)

知能犯之罠 (官僚謀殺シリーズ)

紫金陳 (著), 阿井幸作 (翻訳)

本作の舞台は「中国」となっている。ストーリーからは、伝え聞く中国の文化の特性と同じものが、所々強く滲み出ていた。そしてそれが、犯人が仕掛ける各種の罠を機能させる不可欠な要素となるように、ストーリーが巧みに構成されていると感じられた。このような、挑戦的で、かつ当該国の社会状況における問題提起も含む重層的な内容が、本作の読み応えを作っている。

犯人は、人間心理と官僚社会の力学を熟知しており、狙った落とし穴へと事が運ぶ (落ちる) ように、力学を使って人々を操る。その技がおもしろいので私は昼夜の空き時間、ページめくりに勤しむしかなかった。後半のある時点からは結末が予想できて、ほぼその通りにストーリーは終わった。