【観た映画】 15時17分、パリ行き (吹替版)

【観た映画】 15時17分、パリ行き (吹替版)
15時17分、パリ行き(字幕版)

15時17分、パリ行き(字幕版)

クリント・イーストウッド (監督), ドロシー・ブリスカル (Writer), アンソニー・サドラー (出演), アレク・スカラトス (出演), スペンサー・ストーン (出演)

原題『The 15:17 to Paris』。映画の中の時間の矢は「タリス銃乱射事件」という出来事に向かって進む。しかし映画はこの事件が実は主体ではなくて、登場する主人公三人の少年期からの交流や、抱いてきた葛藤を本筋として描いているように思えた。私は本作からメッセージやあたたかさを感じる。しかし一方で、一般的には評価は一様ではなく割れる作品だと断言できる。

ストーリの表層には絡まないと思われるシーンがいくつかあって、観終わった後にはそれがなぜか印象に残っているという、不思議な構成をしていた。このようなシーンの役割は何だろうかと考えてみると、それは、劇中の主人公らと、観客のひとりひとりがきっと過去に体験したことがあるような個人的な大小の類似の出来事とを結びつけさせ、観客側のエピソード記憶を呼び起こすためのトリガーではないか?という仮説を私は立てた。この仮説に基づけば、観客側にそのトリガーに引っかかるものが特に無ければシーンに伴う過去の感情を自分の中からは受け取れなくて、シーンの意図をおのおの想像することになる。このような構成が、“評価が割れる”と判断した理由だ。

また、本作の主人公三人は、実際に乱射事件に遭遇した本人らが演じており、その意味でも驚愕の映画である。終盤のシーン (おそらく実際の表彰式の場面) でフランス大統領が述べる言葉が、本作に託されたメッセージのひとつだと解釈した。今日時点の世界情勢を想いつつ、民主主義というものを考えさせられる。

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