決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月 (文春e-book)
秋場 大輔 (著)
札束で殴り合うという表現があるが、それに倣うと本書は、会社の経営層が、会社法と内規に沿って株主の権利を使って殴り合う様のドキュメンタリーと言える。激しい言葉を使ったけども、もちろん実際は双方の論理を巡っての争い。どのような論理を用いて「なんのために争うのか」をオーディエンスへ説明し、形成されていく集合知からどれだけの高い評価を得るかが勝敗を決める。
登場人物らはきっとスーツをまとっているものの、あれやこれやの策略を巡らせ、布陣を整える。その行いとしては戦国時代の武将と似てるのだろうなと想像しながら、私は勢い良く読み進めた。本書に描かれているコーポレートガバナンス機能の成功例は、日本国では珍しいらしく、その意味でこの内容は貴重で実戦的と言えるのかもしれない。