【読んだ本】 脳の外で考える――最新科学でわかった思考力を研ぎ澄ます技法
脳の外で考える――最新科学でわかった思考力を研ぎ澄ます技法
アニー・マーフィー・ポール (著), 松丸 さとみ (翻訳)
本書は分量があって読み通すのに時間がかかり、さらに途中で別の参考書を読んだりしていたので既読部分の記憶が薄くなり、結局三・四ヶ月かけて2回読むことになった。猛暑を避けようとして車での通勤回数をついつい増やすと、これまで私は主に通勤電車の中で読書していた分、読書の機会が減ってしまうことを証明してしまった。
こうして2回読み込んで、エッセンスをできるだけ吸い取ろうとした本書は新鮮でおもしろかった。脳はコンピュータではなくて、脳は身体の中にある臓器のひとつだと捉えるべきもので、ヒトが進化してきた過程を踏まえて、脳が好む状況や存分に力を発揮する状況を作ることが大切なのだと理解できた。「脳の外で考える」は、脳にかかる負担を脳の外に負担させることが必要だという著者の主張の言い換えとなっている。
本書にて多数紹介されている、心理学、認知科学、神経科学といった分野で得られている新たな知見によれば、既成概念的には“あたりまえ”と思われる節があるかもしれない次のような行為は、
- 動かず寡黙に思考すること
- プライバシーがない空間、自身の目指すアイデンティティが表せていない空間で思考すること (例: フリーアドレスなオフィスの飾ることが出来ない机)
- 自分や仲間に向けたアイデアの外化を行わずに思考すること
脳の負担を上げてしまいそのパフォーマンスを抑制している可能性があるとか。思考をするべき時間における自分のモチベーションの作り方や環境整備、ひいてはオフィス空間や勉学のあり方を見直したくなってくる。自身の身体の感覚を使い、そしてまさに「脳の外で考える」ようにしていきたい。
P.S. 職場の近くの建物の2階に、おしゃれなカレーランチが食べられるカフェがあって、そこの窓向きの席に座ると外の樹木が大きく目に入り、青々とした枝葉が風を可視化するようにそろって揺れているのを眺めることができる。ここで独りランチしてからコーヒー片手にぼーっとしていると、アイデアをひらめいたり考えをなんとなくうまくまとめられることが顕著な気がするのだが、それはいつも偶然なのではなく、この環境では良い状態での集中が出来ているからかもしれない。