Anker 爆発的成長を続ける 新時代のメーカー
松村太郎 (著)
充電関係のガジェットを購入する際には、自分の中で第一に検討対象とするブランドのAnker。ここの製品は実際にいくつか購入しているが会社についてはよく知らないなぁと、タイトルに惹かれて本書を手に取った。Anker社は2011年創業とのこと。本書は、創業者を含むコアメンバー数名への取材を交えて書かれている。
Anker社の組織構造として、自社工場は持たないファブレスであることは予想の範囲内だったが、当初想定の販路はAmazonを通じたオンライン販売のみという点には、軽く意表を突かれた (のちに自社サイトや実店舗等にも販路を拡大)。だがこのネット時代なら、“Amazonで売る”ことから会社が始まるとしても特に不思議ではない。おそらくオンラインなら比較的低コストかつ簡単に出品して販売開始できるから。
しかし実は、販路に関する考え方に本書の要点があった。Anker社の場合、研究開発と顧客対応を会社の価値創造の主軸に据えていて、これらを堅実に行うための、サイトでのユーザーレビューを拾い上げての顧客対応と商品改良そして研究開発をメーカーとしてかつてないほど高速に回すことができる、“Amazonに最適化”するD2C (Direct to Consumer) な戦略が成長力の源だとわかる。これを私なりに広く解釈すると、普遍的なミッション達成のための今どきの愚直な方法を追求することでチャンスは生まれる、とでもなろうか。