【読んだ本】 ロシアトヨタ戦記

【読んだ本】 ロシアトヨタ戦記
ロシアトヨタ戦記 (単行本)

ロシアトヨタ戦記 (単行本)

西谷 公明 (著)

著者は、2004年1月からの5年間、ロシアにおけるトヨタのディストリビューター業務を行う会社の社長であった方。この時期には、油価の上昇に裏付けされたロシア経済の高まりがまずあり、2008年の夏にはロシアによるジョージア侵攻が発生、9月にはリーマンショックに襲われて世界経済が暗転した。これにより、ロシアにおけるトヨタ車 (トヨタ+レクサス) の販売状況も、前年度比数十パーセント増の右肩上がりが続いた後に急落する。

本書は、旧国家崩壊後の新しい経済が萌芽してきたまだグレーな状態の国において、上記のような大波を被りつつも、グループの経営理念に沿ってビジネスを進めたひとつの記録となっている。語り口は文学的だ。読後に私には、「達観」という言葉が記憶されたようだ。なぜだろう。達観がうまくできていない限り、先の読めないビジネスは進められないと強く思わされたからか。そしてもう一つは「したたかさ」だ。

参考リンク (追記 [2022-09-24])