会社の値段 (ちくま新書)
森生明 (著)
意味の上で「企業価値」という日本語のキーワードにぴったり対応する英語はない、ということに驚かされる。本書は、株式会社を題材として、モノへの適正な値付けとその算定根拠について掘り下げていくもの。この算定方法の理解には、厳格には専門知識が必要なものであろうが、エッセンスをうまく説明している本書を実際2回読むとまあまあ掴めた気がする。
また、本書Kindle版の底本は2006年刊行の新書であり、M&A (Mergers and Acquisitions; 合併&買収) に関して言えば、日本ではニッポン放送を巡ってライブドアとフジテレビが争った頃。あの買収劇のメカニズムを、当時関心がなかった私はいまさら知ることになった。本書の節のタイトルを借りれば、会社の値段を意識する観点では『株式上場もM&Aも中身は同じ』。資本主義社会の中で会社は何のために存在しているのか?を礎にしてそこからフォーカスを外さない論理的思考法、みたいなものを自分に少しはインストールできた。