【読んだ本】 ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道

【読んだ本】 ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道
ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道

ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道

成田 昌隆 (著)

映画好きなら目を留めざるを得ないタイトルである。漠然とあった映画づくりに関わる夢に覚醒し、それに向けて、証券会社の仕事を辞めて退路を断って、猛烈に没頭して自身のCG技術をアピールするデモリールを数本製作し、たとえリクルータの目に止まって短期間の仕事を得たとしても、次に続く仕事がないかもしれない状況では不安が募る。著者自身のこうした心の内の描写には、辛さを覚えるほどでとても印象に残る。最終的にどうやって夢に手が届くのだろうかと、先を知りたくてページを進め、途中で本を閉じることができなかった。

CGモデリングとプラモデル制作 (全米コンテストで最高賞を獲るレベル) の技術を切磋琢磨する方法について、著者が淡々と語っている行間に、必ず存在するに違いないのは、常人とは桁の違う集中力と、膨大な量の試行錯誤だ。また、求職活動において著者は、自分を良く評価してくれた人との縁をけっして無下にしていない、と私は感じた。これは2つの意味で感じていて、ひとつは能動的に縁を活かす姿勢を自然体で持っていること、もうひとつは過去の縁が偶然に未来に生きてくる運を引き寄せていること。後者は実際のところ、前者が遅れて巡ってきた結果と言えるだろう。

著者は、本文最後のP.249で“私は自分が何者かを探して、「ミレニアム・ファルコン」に乗った。”と述べている。ここは、自分が何者かまだよくわかっていない私に最もぐっと来た部分であり、本書の総括として見事な一文だなと思った。