【観た映画】 コンテイジョン

【観た映画】 コンテイジョン
コンテイジョン [Blu-ray]

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マット・デイモン (出演), ジュード・ロウ (出演), ローレンス・フィッシュバーン (出演), マリオン・コティヤール (出演), ケイト・ウィンスレット (出演), グウィネス・パルトロウ (出演), ブライアン・クランストン (出演), ジェニファー・イーリー (出演), スティーブン・ソダーバーグ (監督)

接触感染するウイルスMEV-1と戦うこの映画、たとえば公開された2011年に観ていたら、私はどこまでピンと来ていたかどうか自信がない。1時間46分の展開はスピーディーで、かつ少し細切れ気味の各シーンの意味について、観客の想像力を掻き立ててくる作りだ。また、今回の字幕版に固有の事情かもしれないが、英語のセリフに対して日本語字幕は情報密度が足りないように感じられる。

ところが、いま現実の世界は、接触感染に加えて空気感染エアロゾル感染の可能性も考えられているウイルスと戦っている。本作の描写や筋書きを「本物らしい」と太鼓判を押したくなるのは、身の回りの出来事や世界のニュースで伝えられるパンデミックが本作とオーバーラップするからだ。映画を観終わって画面がブラックアウトした後も、誰もがまさに渦中にいることを認識しなきゃいけないのは、映画鑑賞の目的を“現実逃避”と考える場合、認めがたいし、辛い。

ネットを使って陰謀論を唱える扇動者まで登場させている本作は、鋭い考証によって、パニックは懐疑心に火を点け燃え上がらせるという社会現象も示したと言える。その精度にまったく感服せざるを得ない。残念な気持ちと、このパンデミックを早く終えたい気持ちとともに。