【読んだ本】 エコハウスのウソ2
エコハウスのウソ2
前 真之 (著)
この冬は、在宅勤務している北側の部屋を居心地よくするために、隙間風を遮り、窓からの冷気の緩和を試みるなどした (2020-12-30, 2021-01-24)。次にはリビングの二酸化炭素濃度を可視化してみて (2021-01-25)、暖かさを保ちながらの適度な換気って、けっこう難しいものだと実感した。そんな我が家は、住宅設備に手を入れることが出来ない賃貸マンションだけれども、最新の住宅技術では、快適な暮らしと省エネをどう実現しているのだろう?と思い本書を手にした。
タイトルは挑発的であるが、内容は、各種の検証に裏付けられた堅実な技術書といった趣き。住宅のエネルギー効率化の根本には物理学があるわけだから、これは期待通り。さらに本書の読み応えは、たとえば売電に関する日本の制度を噛み砕きながら、今あるべき現実的な姿を説明しているところにある。その説明も分かりやすく、カラフルな模式図や比較表が、左右ページのどちらかには必ず配置されているという頻度で多く登場する。
省エネ指標や住宅の建築基準には、現実に則さないモデルを用いている部分もあるらしい。設計時にその数値を満たすだけではなくて、徐々に温暖化している現代の、地域の四季を通じた実際の生活状況において、数十年の長いスパンで、住む人が嬉しい住宅とは。これは難しくてワクワクするテーマだ。住宅とは、「作って終わり」の単発では不幸と我慢を強いてしまう、改修すること前提で維持すべきITシステムに似ているかもしれない。