【読んだ本】 三つ編み

【読んだ本】 三つ編み
三つ編み

三つ編み

レティシア コロンバニ (著), 齋藤 可津子 (翻訳)

本書のタイトルの前では月並みとなってしまう表現だけれども、3つの時の流れが、それぞれの情緒性豊かに編み込まれてついにひと束となる。優美さに富む、現代の物語だ。

私が思うに、3つの流れの主人公は誰もが、束縛というある種のトンネルを抜けなくちゃならなくて、結果、主人公は、未来をコントロールする気迫を持って未来に向かっていく。読了時の余韻としては心が満充電されるかのような、新年一冊目の読書にふさわしいものだった。

また、末尾の解説で気付かされたこととして、本書は全体的に、それぞれの社会に存在するジェンダーギャップを描いてもいる。それを文字通りに“ギャップ”の存在と捉え、無くすべきものと考えるか、それは文化的に当たり前であって不変的だと思うのか。きっと、後者の認識を持って本書を読み通すことは、相当に難しいだろう。