【読んだ本】 サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
ティエン・ツォ (著), ゲイブ・ワイザート (著), 桑野 順一郎 (翻訳), 御立 英史 (翻訳)
読み進めていくにつれ分かったのは、本書の視点は主としてビジネスを行う側にあるということ。私は、サブスクリプションによる、一般消費者の生活の変革をどう描くのだろう?と、本書に当初なぜか期待してしまっていたが、これは私の全くの勘違いであった。
この勘違いをさっそく払拭し、いわば起業家や経営者のつもりで、彼らが持つであろう意識を想像しながらだと、本書の示唆は大変有意義なものに思える。
現在の時流とともに伸びていくビジネスは、物ではなくサービスを提供する形態になる。それには、顧客第一主義の姿勢が不可欠。また、サブスクリプションモデルを採用すれば双方に可能なこととして、利用者は好みのサービスプランを適宜選択できるし、提供側はサービス内容を改良していけるし、サービスの値付けも状況に応じて動的に調整できる。さらに、サブスクリプションモデルの特性として売上予想の確度の高さがあり、なるほど、と膝を打つ思いだった。
事例紹介で記憶に残ったものは、ギターで有名なFenderが、ギターの練習に役立つスマホアプリをリリースし、そのアプリから取得できるデータを活用しながら、ユーザとの長いスパンでの関係性を築こうとしているというもの。この一例から引き出せる、サブスクリプションモデルに欠かせない要素は多いように思う。