【読んだ本】 銃・病原菌・鉄 (上下巻)
銃・病原菌・鉄 上巻
ジャレド ダイアモンド (著), 倉骨 彰 (翻訳)
銃・病原菌・鉄 下巻
ジャレド ダイアモンド (著), 倉骨 彰 (翻訳)
分量が多くて、上下巻を読み通すのに一ヶ月以上かかった。紀元前一万一千年前、世界の各大陸に分散する人類は、みな狩猟採集生活を送っていたという。そこから繁栄していく人類の、現在にいたるまでの各民族の分布は、収穫に向いた植物や家畜化できる動物が生息していたか、そして人口が稠密化しやすい地理的条件であったか、といった大陸毎の環境要因の違いによって生まれている、というのが本書の主張である。
特定の植物を表す単語の言語間の変遷を遡ることで、その植物の原産地を推定する、歴史言語学の手法をはじめて知った。本書を読みながら、古代の人々の集落や耕す農地が移動もしくは拡大していく様を、何千年のスケールで、頭の中にドキュメンタリー映画のような生々しい映像を (勝手に) 浮かべて想像することを楽しんだ。
その映像を、私は通勤途中の車窓でながめる、現代日本の都市風景に重ね合わせもして、次のようなことを考えたのでした。
- これまでは自然を活かして、自然に従って繁栄してきた人類の方向性は、未来にはどれほど変わるのか
- 世界最大級の人口を有していて地理的な統治期間が長い、中華人民共和国の人々の繁栄を、本書で言う、大きな民族の一般傾向に沿うものとして捉えられるかどうか (原著は1997年出版であり、現在の中国の経済的発展に関しての記述は特にないので、このような仮説を立てた)