【感想】 日本の没落

【感想】 日本の没落
日本の没落 (幻冬舎新書)

日本の没落 (幻冬舎新書)

著者: 中野剛志

出版社: 幻冬舎

比較的長い時間をかけて噛み砕かねばならぬ、私にとって馴染みが薄いジャンルの高濃度な新書。だがしかし知的におもしろかったものだから、2度読み通した。

ドイツの哲学者、オスヴァルト・シュペングラーの著書『西洋の没落』 (1918年に第1巻出版) には、西洋文化の本質そして没落までが描かれているという。その予言的な内容を、100年後の現代の情勢に照らしながら紐解き、検証を進めていく。

シュペングラーが影響を強く受けたという、ゲーテの思想やその作品『ファウスト』からの論理展開も多い。しかし、この辺りの事前知識を持たない私にとっても、著者の話法は平易で意図はクリアであり、頓挫する程のとっつきにくさ・難解さを感じることはなかった。現代における都市化、グローバリゼーション、少子化、金融化といった現象に対し、『西洋の没落』に基づく解釈を著者が加えてゆくところの切れ味が圧巻だ。

分量的には西洋の没落についてが多くを占め、タイトルの『日本の没落』は、今時のキャッチーさを少々狙った命名によるのかもしれないが、西洋の没落が日本へ巡ってきたのではないかという著者の主張は説得力が強く、腑に落ちるもの。本書から私が得た知的な養分としては、人の一生に、数千年に渡る視野角をもたらす源泉とは、文化を洞察すること、存在するものについて (1つの方法として現存在と覚醒存在に分離して) 批判的に考えること。これが哲学なんだな……と再認識した。