情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー (朝日新書)
津田 大介 (著)
情報世界でのさまざまな「情報」は、たとえば、地理的に遠い別の大陸で起こる事件に関してのものだから私の日常とは無関係、と見切れるものではもうない。私たちはそれを手元のスマホから知覚できて、なんにでも意見を付けて他の人へすかさず拡散できるゆえ、「情報」の影響を私たちの行動や思考は受け合っている。
この作用は、地球上に情報を行き渡らせているIT (情報技術) の賜物であるが、この技術の威力が虚偽を含み陽動を企む類の情報と合わさって発揮されるとき、私たちは、大波に漂う小舟のように翻弄される。
本書を、私は、このような情報戦争の構図を読み解くための解説書だと捉えた (著者が発行する津田マガの読者としては、著者がメルマガで紹介してきた朝日新聞論壇委員活動の内容をまとめあげ、本書のベースにしてあることがすぐにわかる)。
著者は、「大量の論考に目を通す中で見えてきたのは、ネットの情報を汚染させている勢力は次の4種類に分けられるという事実である」として、
という分類を本書の冒頭で示し、論述していく。このような勢力が織りなす複雑な様相を、情報戦争のリアルを知るため (そしてわかっているとしても冷静なる再自衛と精度高い情報精査のために)、広く一読をおすすめします。
また、私個人として、特に興味が出てきたことは次の通り。ファクトチェックの運用とそこに計算機をどう利用できるかが気になる。