【感想】 警備ビジネスで読み解く日本 (光文社新書)

警備ビジネスで読み解く日本 (光文社新書)

警備ビジネスで読み解く日本 (光文社新書)

著者: 田中 智仁

出版社: 光文社

著者は警備業を社会学の観点から研究している方である。なにげなく本書を読み始めて私は最初に、警備業に関する初歩的な知識に触れられた。一例を挙げると「守衛さん」と「警備員さん」の区別ができるようになった。警備業とは、警備業法に基づく警備の事業であり、そもそもこのような法律があることさえ知らなかったので、知的に新鮮な新書であった。

本書は、日本での警備ビジネスの始まりの歴史からニーズの高まりや紆余曲折を紹介。そこに、警備業の法制度と現場の諸業務の状態が時にはそぐわないことがある乖離の問題や、どのような人々が警備業に従事しており低賃金・下請け・長時間労働といった、労働問題の具体的な縮図があることを描いている。どのような社会問題でもそうだが、構成員に問題の存在・写実を知らせることが社会を前進させうる第一歩だよなあ、と、本書のルポタージュ的側面を意識しながら状況を把握。

そして、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックが目下の課題として取り上げられる。関係各所での有形・無形の警備は、一体どのような様相になるのだろう。民間から14,000人といわれる警備員自体の確保、期間中の警備員の東京における生活環境の確保……。なお、サイバーテロに関して本書は範疇にしていないが、この対策もある。