【感想】 トヨタ ル・マン 24時間レース制覇までの4551日

トヨタ ル・マン 24時間レース制覇までの4551日

トヨタ ル・マン 24時間レース制覇までの4551日

著者: 世良 耕太

出版社: 三栄書房

トヨタ「レーシングハイブリッド」の挑戦の歴史を語る書である。熱い気持ちになりながら読んだ。

技術面においては、自分がこれまで詳しく知ることはなかった、多様な機構をまたぐレース走行時の回生と力行の制御技術の難しさや、超高速からの急減速時に回生するエネルギーの貯蔵術のイメージが多少抱けるようになったことが嬉しい。その量感を、一般家庭の消費電力量何日分に例えているところが新鮮だった。

本書の章は年ごとに区切られており、ほぼ年が変わる度に、たとえば燃料消費量制限を厳しくしていく、高効率化を求めるWECのレギュレーション変更が登場してくる。それは、WECでの技術の進化が自動車技術を牽引していくという意気込みあふれるものだとして、傍目からは好意的に受け取れる反面、レースに関わる人々にとっては毎度、すったもんだの大変につらい試練に違いない。それでも、自動車レースでの挑戦が優れたものを生んできたのは事実であり、これからもずっと続くはず。

私はそして、「なぜ人は一定レギュレーションのもとでの競争が好きなのか」「なぜ勝ちたいのか」という根本的な問いについて深く考えてみたいな (おそらくは生物として経てきた生存競争に関係しているのだろうな) ……と思いつつ、トヨタはまだ参戦をしていないカテゴリー、電気自動車でレースするFormula Eにも、新しい楽しみとして注目せざるを得ない。