【感想】 20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る

20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る

20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る

著者: 合田 真

出版社: 日経BP社

物理的である「現実 (エネルギーや食糧)」と人間的な「ものがたり (お金)」の原理原則を、後者は変えられるものとして理解する。その上で、通貨の種類や地域性によって生産活動の対価に大きな差があるという、世の不条理を解消するために、現在進行形で行動する起業家の半生記。とでも言おうか。

最初の“理解”については、著者が青年期からこれまでに何に影響を受けて考え、その理解に至っているか、自身の形成過程をけっこう詳しく述べている。民俗学や文学から会得した普遍的なものが、著者の思考に染み込んでいる様子がうかがえる。人間のしっかりした幹はこうやってできる一つの例だろう。

“行動”については、フィクションの冒険活劇に勝るような刺激と波乱に富んでもいて、いわゆるネットで取り上げられバズりやすい部分なのであるが、本書の一番の価値は、これらの行動が、先に書いた理解に伴ってのものと踏まえられる丁寧な構成と内容であること。タイトル『20億人の未来銀行』がズバリ語っているように、著者が創っていきたい物語を、いったん外化してパックしてあるのが本書なのだろう。

未来に向けた事業構想がちょこちょこ登場しており、これからの展開が心待ちにもなる。著者が影響を受けた書籍8冊の一覧と解説が付いていて、「私ならどう読むだろうか」と逆に辿ることもできそうだ。ちなみに私は、著者と同じ中学高校で同級生だったという縁があるゆえ、人一倍強い関心を持って彼の書いた書を読み通したことは否定できない。けど、贔屓目にみなくても、確固たる信念と挑戦にあふれる本書は面白いよ。