【読んだ本】 人はなぜ不倫をするのか

【読んだ本】 人はなぜ不倫をするのか
人はなぜ不倫をするのか (SB新書)

人はなぜ不倫をするのか (SB新書)

亀山 早苗 (著)

行いそのものは別として、“不倫”という言葉が日本で広まったのは、比較的最近らしい。1980年代のテレビドラマがきっかけだそうな。本書は、行動遺伝学・動物行動学・昆虫学・ジェンダー研究・宗教学・性科学・心理学・脳のそれぞれの専門家から、不倫について著者が話を聴く形式を取っている。

地球上の生物は、遺伝子を多様にしながら後世に残して自らの種族を維持する、種の本能で生きている。その一種の動物である人間は、多くは各社会に一夫一婦制なり一夫多妻制なり、相手を固定化する結婚という制度を取り入れてきている。なお、“不倫”はもちろん、結婚という制度があってこそ存在する概念や状態である。

「そのような人間とは、いったいなんなのだ?」という問いを、上記の様なさまざまな専門家の知見を借りながら、今一度考えることが出来たことがとても面白かった。とくに私は、自然科学的なところの文脈は予想の範囲だったが、宗教学関係のところは普段あまり触れない分野なので読み応えがあった。その意味で、目で見える世界が変わる本であり、仮に私にそんな機会が求められた場合の話であるが、他人の色恋に抑制的な意見をすることに、慎重にさせられる本である。