カーデザインは未来を描く

カーデザインは未来を描く

カーデザインは未来を描く

著者: 根津 孝太

出版社: PLANETS

まずありがたかったのは、馬車から発展した自動車が誕生して100年以上経過しているこの近年の中での、カーデザインの移り変わりを、その時々の世相と重ねて解説しているところ。アメ車に生えていた垂直尾翼など、各時代のカーデザインの意匠に改めて気付かされるものがあった。

デザインの表層をなぞるだけではなく、デザイナーが何を企ててそう造ったかという意味までプロが捉えての解説なので、未来にも応用できる、“デザインの見方”が押さえられているというわけだ。そして、世代を超えている血筋というか、カーデザインにおける思想の継承を見抜いての解説があるので、街を往来するクルマをよく観てしまう自分の目が肥えたような気にもさせられ、すごく楽しく読んでしまった。

カーデザインは、身体を拡張することが必然である乗物という機械のデザインであるが、機械的な機能に裏付けられた形状を美とする主義のいっぽうで、世間の夢や自身の欲望を捉えた形を美とする向きもある。カーデザインの美学を俯瞰している本書は、たとえばこの両方の美を理解することを実現可能にする良いものに思った。