零式艦上戦闘機 (新潮選書)
清水 政彦 (著)
前回の読了本『情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記』とうってかわって、戦略の逆の側のひとつ、戦闘機の側から先の大戦を描画している。ゼロ戦の性能や設計思想に関する通説を覆していることで有名な本だと聞いて、手に取ってみた。ちなみに私は、いわゆるミニタリーマニアでも何でもないので、特別な事前知識は別にない。
「何隻撃沈、何機損失」というような各戦の具体部分の記述、いわゆる戦果や著者による評定については、すべてきっちりと読んだわけではない。詳細すぎるし正直頭に入ってこないな……と感じたのであった。しかし最後の『おわりに』の章に記述された、P.347の次の一文に、この本の自分なりの意味を捉えた。
著者には、零戦と米軍機の勝敗を分けた最大の要因の一つが、日米両軍の「総力戦」に対する覚悟の差と、その差から派生する戦術・空中指揮に対する工夫の差であったように思われる。
これを私は、マネジメント的ニュアンスの教訓だなと捉えた模様。大戦略に基づく戦術を一貫して練る場面においては、マネージャーがリソースの運用をもっともっと正しく工夫すべきだろ、と言われている気がしたのであった。