光と陰を撮るシンプルな体験を。モノクロ専用カメラアプリ「MonokuroCam」を作った話

光と陰を撮るシンプルな体験を。モノクロ専用カメラアプリ「MonokuroCam」を作った話
Page content

“撮る”をシンプルに

ふと、モノクロの写真が撮りたくなった。手の中の薄く高密度なスマホには、高倍率のズームやAI補整が装備されている時代ではあるが、“光と陰を撮る”という行為だけをシンプルにやりたい時もある。

過去には私、コンデジのRICOH GR DIGITAL IIを使っていた。この単焦点カメラには白黒モードがあって、街の風景などのモノクロ撮影を時に楽しみ、Flickrに2008年頃から写真をアップロードしていたらしい。ちなみに2026年2月には、同じGRシリーズで、イメージセンサーからモノクロ専用に仕立てられているRICOH GR IV Monochromeが登場。「欲しいかも」と一瞬思ったものの、価格帯が25万円を優に超えており、ウェブページをそっと閉じることに。

そんなこんなでひらめいた。手の中のスマホを使う前提で、モノクロでプレビューして、モノクロでの撮影しかできない専用のカメラアプリを自作してみよう。ターゲットOSはAndroid (私のGoogle Pixel 10 Pro XLで動くように)。搭載する機能については、自分で思いつく範囲を一つずつ実装する方針で良いかなと考えて、予習としての他のモノクロカメラアプリの試用は特にやらず。

作ったアプリ「MonokuroCam」

あえて日本語混じりで「MonokuroCam」と命名したアプリの、Google Play Storeでの公開までやっとこぎ着けたのでご紹介。着想から何日を要したかはもうよく分からない。

正式なアプリ名とコンセプトは、次のようにしている。

項目内容
アプリ名 (en-US)MonokuroCam - B&W Camera
簡単な説明The Purest Monochrome Experience. Ultra HDR & real acoustic shutter sounds.
アプリ名 (ja-JP)MonokuroCam - モノクロ専用カメラ
簡単な説明色を削ぎ落とした、純粋なモノクロ撮影体験。Ultra HDR対応と本物のシャッター音。

プログラミング言語はKotlin、Gemini無しには成立していないソースコードは非公開 (現時点での規模感としては、Kotlinプロダクションコードapp/src/mainが合計で約12,000行)。

アプリの価格設定については、今までアプリなどを販売したことがない自分の初めての試みとして、MonokuroCamは有料アプリに設定した。本アプリのコンセプトに“ぴん”と来た方に、ワンコインを費やす感覚で、ぜひぜひ使っていただければと思う。知らぬ間に貯まっているPlay Pointsの使い道にもどうぞ。

作者としてこだわったところ

MonokuroCamの開発において、注力したポイントは主に次の通りです。

そのままを捉える画質

  • Ultra HDR (Gain Map) の階調を保持
    • 単なる白黒化 (彩度を落とす脱色) ではなく、HDRの輝度情報を保持したままモノクロ現像を行っています。有機ELディスプレイで見た際に、黒の締まりやハイライトの階調を活かせます。
  • 物理カメラレンズをダイレクトに切り替え
    • デジタルズームによる画質の引き伸ばしを避け、スマホに搭載されている超広角 (0.5x)・広角 (1.0x)・望遠 (3.0x) などの各レンズを直接切り替えて撮影できます。

気持ちのよい操作性

  • 遅延を感じさせない白黒ファインダー
    • ファインダー映像をGPUでリアルタイムにモノクロ処理することで、表示遅延やカクつきを抑え、自然な追従性を目指しました。
  • お気に入り設定をすぐ呼び出せるカスタムプリセット (U1〜U3)
    • アスペクト比や露出補正、トーン設定などをあらかじめ登録しておき、画面上のバッジから手軽に呼び出し・上書き保存ができます。
  • ミニマルな見た目と、確実な押しやすさの両立
    • ボタンの見た目はすっきり小さく配置しつつ、指で押しやすい十分なタップ領域を確保し、片手でもスムーズに操作できるようにしています。
  • 標準カメラアプリの起動も容易
    • 「あ、このシーンには色彩が欲しい」と思った時は、ファインダー画面の右上のカメラアイコンから、すぐに標準カメラアプリを起動できます。

楽しい使い心地

  • 気分で選べる4つのフィルムトーン
    • 素直なモノクロの STD (Standard)、しっとりした階調の CLS (Classic)、黒が力強く締まる DYN (Dynamic)、暗部のディテールを残す NAT (Natural) を画面下部で切り替えられます。
  • 心地よいシャッター音と振動フィードバック
    • 4種類の実物のシャッター音 (レンジファインダーや一眼レフなど) を収録。撮影時の触覚フィードバック (振動) と合わせて、シャッターを切る感覚を楽しめます。無音化も可能です。
  • 水平が直感的にわかる電子水準器&ヒストグラム
    • ファインダー中央に水準器を表示し、水平になると「チッ」と微小な振動でお知らせします。水準器の目盛りを凝視しすぎなくても水平を合わせやすくなっています。

邪魔をしない道具に徹する

  • 広告なし・サブスクなしの買い切り設計
    • 月額課金や広告表示、不要なトラッキングは行っていません。スタンドアロンでシンプルに動く、純粋な撮影道具を目指しました。

まとめ

モノクロで撮るスナップの楽しさや切実さは、スマホのカメラ性能がどれだけ高機能化しても、シンプルさ故に別格なのかもしれない。もし今までやったことがない方は、身の回りの様々なシーンや街や自然を、最初からモノクロで自在にスナップしてみてはどうか。きっといつもと、心象が違ってくると思う。

ということで、Androidユーザーの方はぜひ、MonokuroCamを試してみてください。

余談

iOS版への移植について

Android版のKotlinのソースコードを、AIに食べさせて、iOS版としてSwiftへの移植を試みたところ、あまり時間がかからずに一応は動くものが出てきたのには非常に驚いた。手元のiPhone 13では次のような画面になる。

しかし、アプリの画面デザインの細部や動作には、まだまだ甘いところが散見される。Android版に可能な限り合わせるための調整には、かなりの時間がかかりそうだ。さらに、Apple Developer Programへの登録の工数が未知数でもある。このような事情があるので、「MonokuroCam iOS版」を公開するのかどうか、その時期はいつになるのか、まったく未定だ。

Google Playでのアカウント登録, 屋号「ubiqun Lab」について

Google Playの公式ストアにアプリを登録するためには、アカウントの登録が最初に必要だ。アカウントの種別は「組織アカウント」が良いらしいので、私は下記のサイトを参考にしながら、

次のような各種作業を進めた。4は比較的慣れているがその他はまったく慣れない作業で、時間も要するし、自力を諦めて誰かに委託したくなるほどであった。

  1. 事業用の電話番号を取得
  2. バーチャルオフィスを契約
  3. 屋号を定め、個人事業主として開業届を提出
  4. ドメインubiqun.comを取得して、専用ウェブサイト「ubiqun Lab」を構築 (プライバシーポリシーや特定商取引法に基づく表記を記載)
  5. D-U-N-S番号を取得
  6. Google Play Developerに登録

ちなみに、上記の「ubiqun」という単語は、携帯電話 (ガラケー) 全盛期の2000年代初めにひねり出した、「ubiquitous」と「指」の連想から作った私の造語だ。読み方は「ユビクン」。今回改めて、屋号「ubiqun Lab」の形で復活させてみた。