Officeスイートの「WPS Office for Linux」を試してみた 〜Ver.11の日本語化・太字表示対策〜

Officeスイートの「WPS Office for Linux」を試してみた 〜Ver.11の日本語化・太字表示対策〜
Page content

存在が貴重なLinux版、現状は?

中古で購入した数年前のパソコンの箱を整理していた時、未使用状態の「WPS Office for Windows」のライセンス番号を見つけ、長らく忘れていたKingsoftとWPS Officeの存在を思い出した。そして、WPS OfficeにはLinux版があったことも思い出した。

私はこれまで、主にUbuntuやmacOSの環境において、OfficeスイートとしてはLibreOfficeばかり使ってきた。それ以外のOfficeスイートの最新状況を知らないので、はたして今のWPS OfficeのLinux版 (x86_64) はどんな感じで使えるのか、試してみたい。

最新のVer.12は断念

項目内容備考
OSUbuntu 24.04 LTS (amd64)言語を日本語に設定
WPS OfficeVer.12.1.2.23578

上記のリンク先から、x86_64用のdebパッケージ (wps-office_12.1.2.23578.AK.preread.sw_542488_amd64.deb) をダウンロードできる。インストールして「WPS Office」を起動してみると、下記画像のように画面表示は簡体字で、設定メニュー等が見つけられず、日本語や英語への言語切り替えが困難だった (かつ日本語の言語ファイルをウェブ上で探しても見つけられない)。現時点での日本語表示での利用は時期尚早なのかもしれず、今回は見送りとする。

一つ前のVer.11を精査

項目内容備考
OSUbuntu 24.04 LTS (amd64)言語を日本語に設定
WPS OfficeVer.11.1.0.11723

こちらも同様に、上記のリンク先から、x86_64用のdebパッケージ (Jul. 29 2024, wps-office_11.1.0.11723.XA_amd64.deb) をダウンロードできる。インストールして「WPS 2019」を起動してみると、画面表示は英語表記となった。

画面表示を日本語表記にする

WPS Office Ver.11に、次の手順で日本語の言語ファイルを適用すると、画面表示を日本語表記に変更できる。

  1. wachin/wps-office-all-mui-win-language: MUI (Multilingual User Interface) & Dict (Spell Check Dictionary) WPS Office Linux5.) Install MUI (Multilingual User Interface) and dicts (Spell checking dictionaries) にて、MUI (mui.7z) をダウンロードする
  2. mui.7zを展開し、展開されたディレクトリ「mui/ja_JP/」を、~/.local/share/Kingsoft/office6/に置く
    • すなわち、ja_jp/~/.local/share/Kingsoft/office6/mui/ja_JP/として配置する
    • ~/.local/share/Kingsoft/office6/は、WPS Officeを一度起動すると自動生成されている
  3. WPS Officeを再度起動してみると、下記画像のように画面表示は日本語表記となるはず

文字のBold表示がおかしい問題を解決する

今回の実験環境においては、上記画像のように、Bold・太字属性が適用されている日本語文字が、塗りつぶされたかのような妙な表示となる。これは、WPS Officeのバグが、Ubuntu側のFreeTypeのバージョン2.13.2以上との組み合わせで発現しているためらしく、既知の問題だ。

この問題は、WPS Officeにわざと古いFreeType 2.13.0を使うようにさせる次の手順で、解決できる。

  1. https://sourceforge.net/projects/freetype/files/freetype2/2.13.0/freetype-2.13.0.tar.xz をダウンロードする
  2. configureとmakeを実行し、生成されたlibfreetype.so.6.19.0をWPS Officeの配下のディレクトリに配置する
    ## まだであれば、makeとgccをインストールする
    sudo apt install make gcc
    
    ## freetype-2.13.0.tar.xzを展開し、configureとmakeを実行する
    tar -xvf ./freetype-2.13.0.tar.xz
    cd ./freetype-2.13.0
    ./configure
    make -j$(nproc) # コア数に応じて並列ビルド
    
    ## 生成されたlibfreetype.so.6.19.0をWPS Officeの配下のディレクトリに配置する
    sudo cp ./objs/.libs/libfreetype.so.6.19.0 /opt/kingsoft/wps-office/office6/
    cd /opt/kingsoft/wps-office/office6/
    sudo ln -s libfreetype.so.6.19.0 libfreetype.so.6
    sudo ln -s libfreetype.so.6.19.0 libfreetype.so
  3. 再度、WPS Officeを起動してみると、下記画像のように文字の太字表示がおかしい問題は治るはず

表計算とプレゼンテーションもOK

文書作成の「Writer」に加えて、表計算の「Spreadsheet」と、プレゼンテーション「Presentation」も正常に起動できた。

参考情報: wpscloudsvr, フォント

参考リンク