国際宇宙ステーション (ISS) のSSTV電波を受信して画像を取り出すことができた

国際宇宙ステーション (ISS) のSSTV電波を受信して画像を取り出すことができた
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初受信のチャンス到来

アマチュア無線の資格を取ってからだったと思うが、地球を周回する国際宇宙ステーション (ISS) から、アマチュア無線機で受信可能な電波が発信されるイベントがあると知った。その電波は144MHz帯のFMで、SSTV (Slow Scan Television) のPD120という形式で符号化されていて、画像としてデコード (復号) することができる。電波を発信しているのはロシアのチームRS0ISSで、画像の中にはロシア語やロシアにまつわる人物が現れることもあるようだ。

このイベントが直近では2023年10月上旬に予定されていたもののISS側の事情で延期され、最初の再実施が「Fri Oct 27 at 12:15 GMT」からなされるという。ならば、せっかくのチャンスなのでSSTVを初受信してみなければならない。

用意したもの

受信機 (アマチュア無線機) は片手に収まるハンディタイプで、SSTVのデコードにはパソコンではなくスマホアプリを使う、という軽量でイージーな構成である。

SSTV受信手順

  1. ISSの周回軌道・上空通過時間とSSTV送信のスケジュールについて、忘れることなく事前に情報収集しておく
  2. スマホアプリのISSディテクターを使って、観察地においてISSが上空を通過する日時 (長さは数分間しかない) を正確に把握する
  3. 当該時刻にできるだけ見晴らしの良いところへ出向き、狙う波長に合わせて棒状のロッドアンテナの長さを約50cmに調整し、指向性を考えてアンテナの横側をISSへ向ける
  4. 当該周波数 (今回の場合は145.800MHz) をFMモードでモニタリングしながら同時に受信機の機能を使って録音しておき、ピロピロ音が聞こえてくることを祈る
  5. 受信と同時に、もしくは録音したピロピロ音をスマホアプリのRobot36 - SSTV Image Decoderに聞かせて、画像が表示されてくれば受信成功である

受信2回目の場景

受信3回目の場景

感想

JAXAの次のページによると、国際宇宙ステーションは地上約400kmの宇宙空間に浮かんでいる。

したがってSSTVの受信とは、物理的には、400km離れた場所から出力25Wで送信される144MHz帯の電波をハンディ機で受信するだけのことなのだが、なんてったって本物の国際宇宙ステーションから発せられている稀な電波だし、受信には周回軌道・仰角や天候などの好条件が整う必要があるし、ピロピロ音のデコードまで成功しないと成果物の画像は得られないので、実験のロマン度は非常に高い (当社比)。

また、いくらか感傷的になるとするならば、この実験を楽しいと感じることからの連想で、離れた人間らが通信することの理由について考えたり、今はまだ人間と人間とが通信するしかない、他の相手を見つけていない、宇宙の深遠さに気づいたりすることもできる。

受信した画像

  • 2023-10-28 01:40頃 JST:
  • 2023-10-28 09:50頃 JST:
  • 2023-10-29 09:02頃 JST:
  • 2023-10-29 09:06頃 JST:

参考リンク