本記事は、オープンソースなビデオ会議システム「Jitsi Meet」に関する次の記事の続編です。
Jitsi Meetを使ってビデオ会議している時に、次のようなミスはよくやってしまう。少なくとも私は。
このようなミスが起こってしまうのは、UIの観点では情報不足のためではないか、具体的には、Jitsi Meetのブラウザ画面で自身のマイクのミュート状態が大きく常時表示されていないことが原因のひとつではないか?……と気づいた。
以下、PCのブラウザでJitsi Meetを利用している場合を想定しての話です。
自身のマイクのミュート状態は、次の画面写真の下部にあるツールバー (TOOLBAR) の、中央部分の (赤丸の左の) マイクアイコンの形により把握できる。しかしツールバーからフォーカスが外れると、数秒後にツールバーは自動的に隠れてしまう。画面要素が減ることで見かけはシンプルになるが、ツールバーが隠れていると、ミュート状態の認識がやりにくくなって、過去にミュート操作したかどうかという曖昧な記憶に頼りがちになる。これが今回の私の仮説。
このツールバーの常時表示は制御可能なのか、公式ドキュメントでの記述を発見できていないが、変数名からして、公式サービスの https://meet.jit.si/interface_config.js
にも含まれる次の値がどうみてもそれだろう。
TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: false,
いわゆるオンプレミス、自前で構築したJitsi Meetサーバでは、サーバ上のファイル /usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
に該当の設定項目を発見できた。このファイルを編集してTOOLBAR_ALWAYS_VISIBLEの値をtrue
へ変更する。
TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: false,
↓
TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: true,
次に、Jitsi Meetに参加しているブラウザ画面を再読込すると、(https://自前サーバ/interface_config.js
も再読込されて) 設定変更が有効となり、ツールバーが自動的に隠れなくなる。
この設定変更により、ビデオ会議の各参加者の、マイクのMuteに関わるミスは減少するだろうか。この先もしばらく続きそうな在宅勤務を通じて、Let’s 実験です。
Jitsi Meetに関係する次のupgradeが実施されたあと、「TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: true,」へ設定変更していた /usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
は、「false」の内容で上書きされていた。
2020-09-02 23:00:35 upgrade jitsi-videobridge2:all 2.1-273-g072dd44b-1 2.1-304-g8488f77d-1
2020-09-02 23:01:29 upgrade jitsi-meet:all 2.0.4857-1 2.0.4966-1
2020-09-02 23:01:30 upgrade jicofo:all 1.0-612-1 1.0-626-1
2020-09-02 23:01:52 upgrade jitsi-meet-web:all 1.0.4289-1 1.0.4370-1
2020-09-02 23:01:58 upgrade jitsi-meet-web-config:all 1.0.4289-1 1.0.4370-1
2020-09-02 23:01:59 upgrade jitsi-meet-prosody:all 1.0.4289-1 1.0.4370-1
2020-09-02 23:02:03 upgrade jitsi-meet-turnserver:all 1.0.4289-1 1.0.4370-1
/usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
は、次のdpkg -S
で調べるとjitsi-meet-webのパッケージに含まれているので当然のことだな。自身の設定を永続化させたいならば、なんらかの方法を検討しなきゃいけない。
$ dpkg -S /usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
jitsi-meet-web: /usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
上記の/usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
における「TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: true,」への設定変更を、ansibleのplaybookで用意すると次の内容になる。必要時に適宜、このplaybookをJitsi Meetサーバに適用すると良さそうだ。
- hosts: all
tasks:
- name: Change TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE to true
become: yes
replace:
backup: yes
path: /usr/share/jitsi-meet/interface_config.js
regexp: '^ TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: false,'
replace: ' TOOLBAR_ALWAYS_VISIBLE: true,'